ヒョウモンダコ(豹紋蛸)は、マダコ亜目 マダコ科 ヒョウモンダコ属に属する4種類のタコの総称をさす場合が多い。小型だが唾液に猛毒のテトロドトキシンを含むことで知られ、危険なタコとされる。

体長は10cmほどの小型のタコである。他のタコと同様に体色をすばやく変化させることができ、周囲の岩や海藻にカモフラージュするが、
刺激を受けると青い輪や線の模様のある明るい黄色に変化する。この模様がヒョウ柄を思わせることからこの和名がついた。

日本からオーストラリアにかけての西太平洋熱帯域・亜熱帯域に分布し、浅い海の岩礁、サンゴ礁、砂礫底に生息する。ところが、
2009年になってからは九州北部の福岡県・佐賀県・長崎県・大分県で多く目撃されていることから、警戒を呼び掛けている[1]。

他のタコ同様に肉食性で、カニやエビを捕食するが、捕まえられるならば魚類も食べる。なお、野生では観察されたことはないが、実験室では共食いする。
人間でさえ、触られたり近づかれたりした場合は噛み付くことがある。

オスとメスが出会うと、オスはメスの外套膜をつかみ、精子嚢を渡すための交接腕を外套膜腔に何度も挿入する。交尾はメスの中に十分に精子嚢が入るまで続く。
秋の終わりごろメスは一生に一度だけ50個ほどの卵を産む。卵が生まれるとすぐにメスは触手で抱える。この状態が6か月間続き、この間メスは食料を取らず、卵が孵化するとメスは死ぬ。
幼生は次の年には成長し交尾ができるようになる。

毒性

ヒョウモンダコの唾液には強力な神経毒であるテトロドトキシンが含まれ、人間でも噛まれると危険である。

ヒョウモンダコは身の危険を感じるとこの唾液を吐いたり、または痛みなしに噛み付いて注入する。フグと同じ毒のテトロドトキシンは解毒剤がなく、
呼吸困難に繋がる麻痺を引き起こし、酸素不足から心停止に至る。応急処置は傷口を押さえ、心臓マッサージを行う。病院での治療は毒が体から排出されるまで酸素マスクをつける。
症状が悪化すると、特に子供は体が小さいために非常に危険である。一般的には噛まれてから24時間が経過すれば回復に向かう。
ただし、種によっては噛まれたときにテトロドトキシンによる麻痺症状ではなく難治性の皮膚潰瘍のみが生じることが知られている。

テトロドトキシンはヒョウモンダコの獲物である甲殻類には無害だが、唾液腺中に含まれるもうひとつの毒「ハパロトキシン」は、甲殻類を麻痺させる毒性をもつ。
ヒョウモンダコはカニなどを捕らえる際に、この毒を海水中に放出することであらかじめ獲物の動きを奪い[2]、捕食に伴うリスクを減らしていると考えられる。

このように防御、攻撃に毒を利用するように進化しているためか、ヒョウモンダコの吸盤は小さくて弱々しく、「スミ」を蓄える墨汁嚢も退化している。
泳ぎは不得意で、たいていは海底をゆっくり這っている。強力な獲物を抑えつけたり、スミを吐き散らしながら敵から逃げる必要がないためと考えられている。
危険が迫ったり興奮すると鮮やかなルリ色のリング紋様の警告色を発することで、有毒生物であることを知らせ、外敵を威嚇する。

☆出雲市沖の日本海で猛毒を持つヒョウモンダコ見つかる。