日本酒の製法

「生?」「山廃」とは

cコオプロ生?(きもと)とは江戸時代に確立した伝統的な酒の製法で、天然の乳酸菌の力を借りて、酒の元になる酒母(しゅぼ)を造る方法。タンクに蒸した米と米麹(こうじ)、
水を入れ、蔵にすみ着いた乳酸菌に乳酸をつくらせる。乳酸が雑菌や不要な野生酵母を殺したところで、アルコール発酵に必要な酵母を投入する。培養された酵母も生命力が強いものが生き残り、
この酒母を使ってできた酒は重厚なうまみと酸を伴う味になるとされる。醸造には30日以上かかる。

この過程で最も人手のかかる作業が、雑菌が動かず、乳酸菌が活動しやすい気温5度ぐらいの寒さの中で、蒸米と麹と水を混ぜ合わせる「山卸(やまおろ)し」だ。
かゆ状になるまで丸1日かける。人件費も手間もかかるこの作業を廃止しても、蒸米の投入を遅らせることでほぼ同様の酒母ができることが明治時代にわかった。
この手法を「山卸し廃止(山廃)」と呼ぶ。
これに対して現在造られている酒のほとんどは、水に人工的に乳酸を加え、蒸した米と麹を混ぜる「速醸」で、2週間程度で酒を醸造できる。

日本酒の種類
1.日本酒法律上の区分
酒税法では、製造法と原料の違いから、日本酒をを特定名称酒と普通酒のふたつに分けている。

<特定名称酒>
①精米歩合の違い②醸造アルコールを用いているかどうか③吟醸作りであるかどうかによって次表のようにわかれている。

名称 特定
名称 使用
原料 精米歩合 香味等の要件
吟醸酒 純米大吟醸酒 米、米麹 50%以下 吟醸造り、固有の香味、
光沢が特に良好
大吟醸酒 米、米麹
醸造アルコール 50%以下 吟醸造り、固有の香味、
光沢が特に良好
純米吟醸酒 米、米麹 60%以下 吟醸造り、固有の香味、
光沢が特に良好
吟醸酒 米、米麹
醸造アルコール 60%以下 香味・光沢が特に良好
純米酒 特別純米酒 米、米麹 60%以下
(または特別な製造方法)* 香味・光沢が特に良好
純米酒 米、米麹 70%以下 香味・光沢が特に良好
本醸造酒 特別本醸造酒 米、米麹
醸造アルコール 60%以下
(または特別な製造方法)*  香味・光沢が特に良好
本醸造酒  米、米麹
醸造アルコール 70%以下 香味・光沢が特に良好

(*は、説明を表示する必要あり)

①精米歩合の違い
精米歩合…白米の玄米に対する重量の割合。精米歩合60%は、玄米の表層部を40%削りとることで、70%なら30%を削ることになる。
精米歩合60%以下の原料米を使用したものを「吟醸」、精米歩合50%以下のものを「大吟醸」という。

②使用原料(醸造アルコールの有無)の違い
精米歩合70%以下を原料米とし、米と米麹だけで作られたものを「純米酒」、精米歩合70%以下を原料米とし規定内(白米の重量の10%以下)の醸造アルコールを添加して作られたものを
「本醸造酒」という。
醸造アルコールとは、でんぷんや糖質を発酵させて造ったアルコールのこと。もろみにアルコールを適量加えると、香り高く、スッキリした味になる。
酒の香味を劣化させる乳酸菌の増殖を防止する効果もある。

③吟醸造り
精米歩合の高い(60%以下)米・麹と吟醸酒用の特別な酵母を使用して低温で長期間発酵させる醸造法。、より華やかな香味となるのが特徴。

<普通酒>

白米重量の10%より多量の醸造アルコールを添加し、さらに糖分を加えて造られたもの。特定名称酒でも醸造アルコールを使用するが、普通酒の場合は保存性を増し、
香味を調整するのが目的である。添加により、一層シャープな味わいが生まれる。

2.その他の区分
「火入れ」「搾り方」「貯蔵」等の違いによる種類がある。

<火入れの違いによる区分>

・生酒
日本酒は通常、貯蔵する前と貯蔵が終わって瓶詰めをする前の計2回、火入れ(加熱殺菌)が行われるが、この火入れを行わない酒が「生酒」である。
火入れを2度とも行わないのが「生酒」、貯蔵前の火入れのみを行い瓶詰め前の火入れを行わないのが「生詰め酒」、貯蔵前の火入れは行わず瓶詰め前のみ行うのが「生貯蔵酒」である。
<搾り・ろ過の違いによる区分>

・あらばしり
醪を搾り袋に入れて搾り出すとき、最初にしたたり出てくる白く濁った酒。みずみずしさを持っている。

・斗瓶取り(とびんどり)
醪を機械圧縮せず、醪の入っている袋を吊ってしずくのように落ちてくるものを雫酒という。これを斗瓶という18リットル入りの太いガラスの瓶で受け取り貯蔵した酒。

・にごり酒
日本酒は通常、新酒完成後にろ過を行うが、この時ろ過を行わない酒。白く濁っており、火入れも行わない為、香り・味わいともに新鮮である。

・濁酒
醪をろ過せずにそのまま、または目の粗いザルか布でろ過しただけで飲む日本酒のこと。酵母がまた生きているので軽い発泡性を持っている。

<貯蔵の違いによる区分>

・新酒
仕込みの年度内に出荷される酒

・樽酒
木製の樽で貯蔵した酒。木の香りが酒に移り、それが持ち味となっている。

・古酒
長期間寝かせた長期間熟成酒。一般的に、2年以上貯蔵したものを「古酒」という。10年以上寝かせたものは「秘蔵酒」等とも呼ばれる。
酒は寝かせることにより色味を増し、黄金色や褐色へと変化する。それに伴い味わいも複雑さを増し、紹興酒やシェリー酒にも似た熟成感が生まれてくる。

<その他>

・原酒
瓶詰め前に通常行われる割り水をしない酒が原酒。水を加えないので、アルコール度数が18~20℃と高いのが特徴。

・凍結酒
超低温で瞬間冷凍をほどこし、フレッシュな味わいを閉じ込めた酒。軽く解凍してフローズン状態でいただく。

美味い出雲の地酒。