山陰地方にも多くの種類が自生していますが、」中には絶滅危惧種に指定されている物もあります。
ヒゴスミレもそんな品種の一つです。
山陰では、大山周辺、桝水高原などの日当たりに良い草原で見ることが出来ます。草丈は10㎝程度、4月下旬から5月にかけて、
小さな可憐な花を見ることが出来ます。葉は、ニンジンの葉によく似た形をしています。
山へ探しに出かけてみては、如何ですか。?

◆◆◆ ヒゴスミレ ◆◆◆

Viola chaerophylloides f. sieboldiana

スミレ科 スミレ属

 スミレ類では珍しい、葉が深く切れ込んでいるものの代表種です。用土は硬質鹿沼土を主体として、軽石、富士砂、バーミキュライトを配合したものです。

 

 ヒゴスミレの花です。一番下の花びらの付け根部分に紫色の筋が見えます。

スミレの開花には特徴があって、初夏までは他の植物同様、上記のように花を咲かせるのですが、ある時期から蕾は立ち上げるのに開花せず、蕾状の花の中で自家受粉して種子を実らせてしまいます。
これを「閉鎖花」といっています。

この閉鎖花から採れる種子は交雑がないため、実生株も親の特徴を安定して受け継いだものとなります。

 

 ヒゴスミレの種子です。

果は乾燥するにつれて縮んでいき、その力で種子を弾き飛ばします。
 

スミレの種子は完全に熟してしまうと休眠に入ってしまい、発芽するのに半年から数年かかってしまうようです。ですから予め蒔き床を用意しておいて、果が裂ける直前の鎌首を持ち上げた状態で採取して、採り蒔きにします。こうすれば数週間で発芽します。

ちなみにヒゴスミレの繁殖力は結構すざまじく、あちこちの鉢から発芽してきます。でも普通のスミレと違って、堅い地面からはなかなか発芽してきませんでした。その年に発芽した実生株は、冬には筍を超小型にしたような先の尖った太めの冬芽を形成して休眠します。

 

 そして、いよいよ春が到来して、その実生株たちが休眠から目覚めて芽出しするとともに開花しました。この写真はヒゴスミレ専用に用意したプランターに植え込んだものです。

現在、このプランターの他にも鉢植えのもの、庭に露地植えにしたものが開花中で非常に賑やかになってきました(^^)。スミレにとっては今が一番いい季節ですね。

 

  

 今シーズン、9月に入ってから急に涼しくなってきたためか、普段この時期では閉鎖花しか立ち上がってこないのに、今回は通常花がぽつぽつ咲いてきています。左の写真では、通常花の周りはほとんど閉鎖花で、果実が膨らんできています。春の開花では、一つ上の写真にもあるように葉はほとんど出てきていなかったのに対し、秋の開花は青々と大きく広がる葉に囲まれながらのものであり、一味違う趣があります。

 

 スミレ類には、冬に冬芽を形成せずにそのまま(ただしコンパクトな冬葉になって)越冬するもの(タチツボスミレなど)と、冬芽を形成して越冬するタイプに分かれます。ヒゴスミレは典型的な冬芽(休眠芽)を形成します。上の方の記事では筍と形容しましたが、毛筆の先といった方が解りやすいかもしれません。地上部はこの冬芽を残して徐々に枯れていきます。

 

大山周辺のヒゴスミレ